タクシー運転手の仕事が気になっているけど「本当に稼げるのか心配…。」という方に向けて、本記事ではタクシー運転手の収入について徹底解説いたします。
一般的な年収から、タクシー運転手として年収に差をつけるためのポイントなどタクシー運転手を目指す方にはぜひ見てほしい内容です。

古川 篤志
【日本交通横浜㈱ 統括本部長】
2006年に都内日交グループ会社ワイエム交通㈱へ乗務員として入社。現場経験を積みながら運行管理者、代表取締役を歴任し、2021年からは日本交通グループ関西の執行役員本部長として勤務。2023年より日本交通横浜㈱に異動し、現在は統括本部長として会社全体の運営と採用に力を入れています。
運行管理者(旅客)の資格を持ち、採用担当としては5年間で年間230名の採用、年間142名の面接を経験。現場と経営の両方を知る立場から、これからタクシードライバーを目指す方々に安心して入社いただける環境づくりを心がけています。
タクシー運転手は稼げる?収入の目安

タクシー運転手の平均年収は地域差が大きく、都市部では全国平均より高くなる傾向があります。一般的に年収は「350~450万円」が1つの目安で、都市部では「450~550万円」ほどのケースも見られます。収入は「固定給+歩合」が基本で、売上に応じて給与が変動します。
歩合制と聞くと不安を感じる人もいますが、一定の売上を超えると歩合の伸びが大きくなる給与の仕組みが一般的です。
たとえば、月の売上が45万円なら月収は30万円前後、売上60万円なら月収35〜40万円ほどになるケースが多く、個人の売り上げによって、収入が変わりやすい点が特徴です。
タクシー運転手の仕事は会社選びや売上収入に対する努力次第で、高収入を目指すこともできる「稼げる職業」です。実際に1年目から年収800万円以上稼ぐドライバーも存在しています。
収入が伸びるドライバーが押さえている稼ぎ方のポイント
安定して収入を伸ばしているドライバーには、共通している“稼ぎ方のポイント”があります。特別才能があったり、過度な長時間労働をしているということはなく、エリアの選び方や時間帯の読み方、営業手法の使い分けなど、日々の努力によって結果に大きく差が出ます。
ここでは経験に関わらず、誰でも今日から取り入れられる工夫を整理して紹介します。
時間帯ごとの需要に合わせてエリアを選んでいる
稼ぐドライバーは、どの時間帯にどこへ人が集まるかを把握しています。
自分が働く街の動向に合わせて、例えば、「朝は駅」、「昼は病院や商業施設」、「夕方はオフィス街」、「夜は繁華街」というように、需要の流れに沿って動くことで空車時間を短くする努力をしています。結果として、同じ走行距離でも乗車回数が増え、売上アップにつながります。
アプリ・流し・付け待ちを状況に応じて使い分ける
アプリは空車を減らす効果が高い一方、流しはイベント時や深夜帯に強く、付け待ちは駅や病院など“短時間で回転しやすい場所”で効果を発揮します。収入が高いドライバーは、この3つを上手に使い分けています。
「昼間はアプリ配車」「イベント時は付け待ち」「深夜は流し」というような、土地柄や状況に応じた使い分けの判断が売り上げアップにつながります。
快適に過ごしてもらうための接客
挨拶、距離感、丁寧な運転など、基本的な接客が整っているドライバーは、お客様から安心感や好印象を得ることができます。その結果、自身が働く会社を「利用したい」と感じて下さるお客様が増え結果的に、会社や営業所全体の配車の増加につながります。
営業結果を分析し、改善を重ねている
売上が伸びるドライバーほど、出勤ごとに「グッドポイント」と「改善ポイント」を必ず確認しています。需要の高い場所や時間帯、自分の空車が長くなった原因などを把握することで、翌日の動きがさらに効率化します。小さな改善を日々積み重ねることで、長期的な収入の差が生まれます。
収入が伸びない原因と改善ポイント

すでにタクシー運転手として働いている方の中には、「毎日走っているのに収入が伸びない」「同じ勤務時間でも売上に差がつく理由が分からない」という悩みを持つ方も少なくありません。
ここでは、現場で起きやすい“伸び悩みの原因”と、すぐに改善できる“具体策”をまとめました。
空車時間が長い
稼げない原因の多くが、この「空車時間」にあります。需要が低いエリアで待機したり、目的地を決めずに走り続けると、乗車機会が少なくなります。
- 需要が高まる時間帯に合わせてエリアを移動する
- 駅・病院・商業施設など“短時間で回転しやすい場所”に寄せて動く
- アプリ受注が多い地点を記録し、待機場所などの参考にする
エリア選びや時間帯判断をしていない
なんとなく感覚に任せて走っているだけでは、乗車回数が安定しません。人の動きには傾向があるため、これを理解せずにやみくもに営業すると乗車機会が減ります。
- 地域特性を理解した上で、時間帯ごとの営業エリアを選定する
- 実績アプリや営業日誌で、自分の“当たりパターン”を見つける
- イベントや雨天など外部要因を日々チェックし、戦略的に動く
接客の満足度を意識していない
接客品質は売上に影響します。会話の距離感、安全運転、丁寧な言葉遣いがリピート客の獲得につながります。
- 乗車時の挨拶・端的かつ丁寧な確認を心がける
- 急ブレーキ・急加速は避け、お客様にとって心地よい運転を心がける
- 距離に関わらず、丁寧な接客・踏み込みすぎない接客を心がける
売上の振り返り・改善点の分析を怠っている
同じミスを繰り返す最大の原因が「記録しない」ことです。売上が伸びる人は“今日の良かった点・悪かった点”を日々、記録しています。
- その日の営業したエリアの乗車状況などを記録する
- 空車が長引いた理由を記録し翌日の動きに反映する
- 週単位でも振り返り、翌週に向けて改善策を立てる
環境を変えることも選択肢のひとつ
タクシー運転手として収入を伸ばすためには、営業スキルや日々の工夫が大きな土台になります。ただ、続けているうちに「今の環境だと伸びにくい」、「もう少しサポートが欲しい」と感じる場面が出てくることもあります。そんなときは、働く環境を見直すことも選択肢のひとつです。
タクシー業界では会社ごとに研修の手厚さやフォロー体制、エリアの特性に違いがあります。自分に合わないと感じたら、環境を変えることで負担を減らし、営業に集中できるケースもあります。大きな決断ではありますが、選択肢を知っているだけでも心の余裕につながります。
稼げる人が身につけている“仕事のメンタルと習慣”
タクシー運転手として収入を伸ばすためには、営業スキルやエリア選びと同じくらい、日々のメンタルケアと習慣が大切です。安定して稼いでいるドライバーの多くには「落ち着いた精神力」と「続けられる習慣」が確立されています。
ここでは、経験年数に関係なく身につけられるメンタルと習慣について紹介します。
短期の売上に振り回されないスタンス
タクシー運転手の仕事は日々の売り上げに波があります。営業収入の波に振り回されず、日々落ち着いて、収入の少なかった日はどのような要因があったのか、分析を続けることが長く、稼ぎ続けるためには大切です。
ルーティーンと臨機応変な対応
稼いでいるドライバーの多くは、朝から夜までの営業フローや休憩のタイミングなど、自分なりのルーティーンを持つことで、自分のペースを大切にしながら働いています。
一方で、ルーティーンを持ちながらもその型に固執せず、天候・イベント・交通量などの状況を見ながら臨機応変に動くことも大切です。
自分のペースを守りつつも、日々の分析や周囲の状況に応じて臨機応変に動くことで、無理なく、収入アップを狙っています。
ミスが起きても引きずらない
方向を誤った、空車が続いた、接客トラブルが起きたなど、こうした小さなミスを引きずると、その後の判断全体に影響を及ぼすこともあります。稼ぐドライバーほど切り替えが早く、気持ちのムラを営業に影響させません。
稼ぐためには、休日のリフレッシュなどメンタルケアも欠かせません。
小さな改善を継続している
稼ぐタクシー運転手は急激な努力ではなく、コツコツとした日々の小さな改善を意識しています。空車時間などの短い時間にも以下のようなことを振り返り、乗務の改善に繫げています。
- 今日の乗車が増えた理由
- 空車が長引いた原因
- 次に試したい改善策
こうした小さな試行錯誤の積み重ねが、数か月後には大きな収入差を生みます。
未経験から収入を伸ばすためのステップ
タクシー運転手は、一見“経験がすべて”の仕事に思われがちです。しかし、実際には未経験からでも1年目から高収入を狙うことができる夢のある職業です。
ここでは、これからデビューする方や経験が浅い方に向けて、収入アップにつなげるためのステップを整理してお伝えします。
最初に整えるべき基礎力
未経験から高収入を目指す場合は、基礎作りが特に重要です。
地理の把握、安全運転、接客の基礎を習得することによって、お客様に安心して利用していただけるようになり、自信を持って接客ができるようになります。
特に接客では難しいテクニックよりも、落ち着いた挨拶や丁寧な確認など、誠実な対応がお客様満足度につながります。
そのため、未経験から挑戦する場合は会社選びの際に研修制度などの充実度も重視しておくと安心です。また、未経験の給与保証があるかどうかも会社によって異なるため、確認しておくべきポイントの一つです。
研修や制度が整っている会社を選ぶかどうかによって、営業スキルと収入に差が生まれます。
シンプルな営業フローから始める
最初のうちは複雑に考えず、「時間帯ごとに強いエリアを回る」というシンプルな動き方が効果的です。
働く街の動向をふまえつつ、「朝は駅周辺」「昼は病院や商業エリア」「夕方はオフィス街」「夜は繁華街」など、“基本パターン”に沿って動くだけで、空車時間は確実に減ります。基本パターンの作成には先輩社員から助言を受けることもおススメです。
慣れてきたら、アプリ・流し・付け待ちを少しずつ組み合わせ、使い分けるようにしましょう。
売上記録の習慣をつける
未経験からの伸びしろを最大化するためには、売り上げの記録と分析が欠かせません。
- どの場所で乗車が続いたか
- 空車が長引いた理由
- 明日試したいこと
この3つを日々記録するだけで、自分の営業パターンを認識できるようになり、続けていくうちに「当たりやすい時間帯」「自分が得意なエリア」が分かり、動き方の精度が高まります。
つまずきやすいポイントを知る
未経験者は、地理の不慣れや、乗車が途切れる時間帯に不安を感じやすいです。しかし、これは誰もが通るプロセスであり、焦る必要はありません。時間帯ごとの“ルーティーン”に沿って動くことを意識すれば、徐々に安定して稼げるようになります。
未経験でも段階を踏んで積み上げていけば、営業の質と収入は確実に向上していきます。
働く環境でも収入の伸び方は変わる
タクシー運転手として収入を伸ばすうえでは、個人の工夫だけでなく“どんな環境で働くか”も影響します。教育体制やフォローの仕組みが整った会社ほど、未経験でも営業の型を習得しやすく、安定して売上を積み上げやすくなります。
詳しい内容は、働きやすさや研修制度をまとめたガイドで紹介しています。
気になる方は以下をご覧ください。

まとめ
タクシー運転手として安定して収入を伸ばすためには、特別なテクニックよりも、日々の試行錯誤の積み重ねが大きく影響します。
- エリアと時間帯の特徴をつかみ、需要の流れに沿って動く
- アプリ・流し・付け待ちを状況で使い分ける
- 丁寧で安定した接客を心がける
- 売上の記録と振り返りを習慣化し、改善点を明確にする
この記事を参考に、理想の年収を叶えてください。

